10分で楽しめる文化系WEBマガジン MIN CAFE

ひとりカフェ中に、10分で楽しめる本や映画、エッセイ、カフェ系ブログ。映画は洋画中心、カフェは関西中心、ときに考えさせてくれるエッセイをエッセンスに。文化系の読者様大歓迎です。

ひねりのある脚本とありきたりでない着地点|ゴーン・ガール|評価|感想

デビット・フィンチャー監督作品、ゴーン・ガール

とても感想が書きにくい映画だ。ストーリーのネタバレにならないつもりで書いたとしても、登場人物の行動に言及してしまうと、それがネタバレに繋がってしまう。

フィンチャー作品の特徴

巧みな構成と脚本

デヴィット・フィンチャー作品はミステリーが多く、毎回オチを楽しみに観ている。設定や脚本が複雑で、伏線が張り巡らされている。共通して描かれているのは、人間心理の奥。主人公はみな追い詰められ、自分の意志に反して踏み出していかなければならない。

ノワール調の映像

寒々しい映像演出と、派手さを排した音楽。映像に暖かみがなく、ピリピリとした空気が伝わってくる。陰鬱であり美しくもある映像美、冒頭から数分で登場人物や背景を飲み込む前に、映画世界に引き込まれる。

ゴーン・ガールのキャストたち

ベン・アフレック

役作りでそうしたのか、随分太っていた。だらしないの一歩手前の中年太りで、昔の洗練されたイメージからはかけ離れている。私は『カンパニー・メン』の彼の演技が好きで、今回のキャラクター設定も職を失っている点が共通していたので、違和感なく受け入れられた。演技にあくがなく、男性は投影しやすいかもしれない。

ロザムンド・パイク

失踪した妻を演じていました。彼女の演技がこの映画の骨です。複雑な人物を見事に演じています。演じていることを忘れてしまって、主人公目線でだめな主人公に共感していく。ジョー・ライト監督の『プライドと偏見』で彼女の演技を観ていましたが、そのときは脇ということもあり、あまり印象に残っていませんでした。ゴーン・ガールでは完全にベン・アフレックよりも印象に残ります。

目に焼き付くクライマックス

デヴィット・フィンチャーです。目を反らしたくなるシーンもあります。そこよりも、その後に来るクライマックスシーンとロザムンド・パイクの演技、ベン・アフレックの短く囁く台詞。インパクトがありすぎて、記憶に残りました。すごいシーンだ。口当たりがよいものだけが、記憶に残るんじゃない。苦いものだって強烈に残る。映画の終結も苦いもので、すっきりしないが、それがありきたりでなく、実にリアルだと思いました。観ていただいた人にしか理解しにくい感想となりましたが、まだ観られていない方は、ひとりで観てください。

☆☆☆☆★

サイフォン珈琲と焼き菓子|北海道産全粒粉入りのスコーン|アンズ舎|カフェ|大阪

大阪天満宮近くのサイフォン珈琲と焼き菓子が自慢のカフェ

大阪天満宮の側に佇むかわいいお店。扉を入ると雑貨と焼き菓子がお出迎え

焼き菓子と小物雑貨

白壁のお店のガラス窓から雑貨がこんにちわ。女子の目を惹きつける小物たちがお目見えします。作家さんたちがつくったイヤリングやブローチなどに思わず目を留めてしまいます。

コーヒーカップやスコーンの器なども、かわいいです。私が手にしたカップは触感がよくとても気に入りました。目で見て楽しめる要素の多いお店です。

北海道産全粒粉入りのスコーン

なんといっても、スコーンが美味しい。アンズ舎のスコーンはちょっと他のスコーンとは違う。全粒粉の食感と香りが独特で、また食べたいと思わせる。見た目は普通のスコーンなんですけど、噛みしめていくうちに、違いに気づいていきます。実はアンズ舎へ来たのは二度目で、一度目もスコーンを頼みました。その味が忘れられず再訪しました。スコーンははずせません。

カフェ好きと常連客が訪れる共有スポット

アンズ舎は雑誌やネットでも取り上げられカフェ好きには周知なお店かと思われます。しかし、大阪天満宮近く、天神橋商店街近くという立地から地元の方もよく訪れているようです。地域のおっちゃん、おばちゃんに愛され、カフェ好きにも愛される小さなお店。近くの大阪天満宮をお参りしたり、繁昌亭で落語を楽しんだ後に、アンズ舎でほっこり。ベストな流れだ。

お店情報

住所 大阪府大阪市北区天神橋1-18-19フラットワン天神橋1階
営業時間 11:00~20:00定休日 月曜日(日・祝不定休)
Facebook http://www.facebook.com/anzu.yaa
お店ブログ http://anzucolocolo.blog.fc2.com/

後悔と栄光が作る多重構造|ザ・ワーズ 盗まれた人生|評価|感想|映画

ブラッドリー・クーパー主演映画『ザ・ワーズ 盗まれた人生』

多重構成の物語

独特の構成の映画です。三つの構成に別れています。一つ、小説家の朗読。二つ、小説家が朗読している自身の小説、三つ、小説の主人公が小説家であり、その小説家の小説。作中作の中にさらに作中作があるといった形態です。この形式は映画『サードパーソン』を思い起こさせました。しかし、サードパーソン程は複雑ではありません。重きをおいているのは、ストーリー展開よりも人生観のように思えました。

いわゆる純文学テイスト

日本だと小説は大きくエンタメ小説、純文学小説と二分されています。エンタメ小説の代表格は直木賞作品、純文学ならば芥川賞といった二大賞で大まかにイメージできます。『ザ・ワーズ』は純文学テイストだと私は思います。登場人物は本心を全て言葉にしない。相手だったり、観客に真意を想像させます。無駄を切った洗練された文学的文章に近いのかもしれません

犠牲がうむ芸術

芸術の極みは喪失や後悔などの、負の心象が生むと言いたかったのだと、私は感じました。心が限界まで振り切れたときに見る心理が原動力となり、名作を完成させる。平凡で順風なことは幸せではあるが、よしとして描かれていなかった。三層構造に登場する主要人物は誰もが後悔を抱えています。

振り返りと後悔

決して前向きな映画ではありません。どの人物も繊細で、過去の過ちを精算しきれず後悔しています。かといって、暗い映画とも言えない。台詞をはぶき、観客に考えさせる。小説でいえば、行間を読めとでも言うのか。観る者を選ぶ映画です。芸術・創作活動で、突き詰めて無心になり、ものづくりに励んだことがある方なら、納得できる部分のある映画だと思います。

☆☆★★★

コピルアクが1000円以下で飲める|Beans Cafe&Gallery 片岡|カフェ|大阪|谷町六丁目

地下鉄谷町六丁目駅近くに今年オープンしたBeans Cafe&Gallery 片岡

豆とギャラリーをコンセプトにしているお店です。お店に一歩入ると、豆の香ばしい香りと店員さんの明るい声がお迎えしてくれます。実はこのカフェ、ちょっと変わってるんです。Beans Cafeだから、豆にこだわっています。

飲む豆と食べる豆

どういうことかというと、飲む豆はコーヒー、食べる豆はつまみやデザート。店員さんによると、豆にこだわっていて、コーヒーも豆だからということです。

食べる豆

私はおやつ豆を注文しました。色とりどり、種々の豆が小皿に用意され、それをつまみながらお茶を楽しみました。小豆や青大豆なんかも甘めに煮ておやつになっています。他にも珍しいメニューがありました。白いぜんざいです。京都で白い小豆のぜんざいがあったりしますが、このお店では白玉ときなこ白玉が入っているそうです。

飲む豆

コーヒーはブレンド、ラテなどから選んだ上、一般的な抽出と、ディカフェ、コピルアク豆などから選べます。ディカフェ? コピルアク? コーヒーに詳しくないと、何のことかわかりませんよね。モカ、ブルーマウンテン、エチピアなどの産地ではありません。コピルアクは産地と言っていいのかどうか……。

ディカフェとは

コーヒーからカフェイン成分を抜くことです。簡単に薬品でディカフェを行っているところが多い中、このお店では水で洗った オール水洗式で時間をかけて抽出されているようです。

コピルアク

ジャコウネコの糞から採られる未消化のコーヒー豆です。世界で一番高価なコーヒーで、日本では一杯5000円を超える程です。ですが、このお店では直仕入れで価格を一杯、ホット¥850 ラテ¥950 で出されています。コーヒー通にとっては驚きの価格で、交通費をかけてでも飲みたいところです。

私はディカフェのラテを飲んでみました。美味しかった-。店員さんの話によると敢えて深入りにしているそうで、とても芳ばしい。コーヒーの香ばしさは強いがディカフェされているので苦みがなく、コーヒーが苦手な方も全然飲める味です。

都心から少し離れた商店街の近くにあるカフェには、地元の方々と来店されているようです。店員さんも気さくで、大阪の良さと種々の豆、ギャラリーとあるようにアート作品の販売も行っている。盛りだくさんなお店でした。豆好きもコーヒー好きも楽しめる希少なカフェです。

お店情報

住所 大阪市中央区谷町7-2-2

営業時間 11:00~18:00

お休み 水曜日

Facebook http://www.facebook.co./bcafe.g.kataoka

 

アフガニスタンで落語|チームお笑い国際便|お笑い

紛争地アフガニスタンで寄席をされる落語家さんのお話

笑福亭鶴笑さんがラジオに出演されていて、そのときのお話しが大変印象深かったので、ご紹介します。笑福亭鶴笑さんはチームお笑い国際便のメンバーのお一人です。

チームお笑い国際便とは

アフガニスタンの子供たちに、食料と医薬品と笑いを届けるプロジェクトらしく、現地で寄席を開く団体で、2014年夏に、実施されました。

笑福亭鶴笑さんはアフガニスタン寄席の模様をお話しされていました。紛争地ですから、お笑いをやるには過酷な状況です。数々の逸話をきいていて、とても心に響くものがありました。都市部と地方での子供たちへの物資の差。これは別の本で読んだことがあるのですが、海外からの物資が必要とする方々にちゃんと届くことはなく、力のあるものの手中に収まるらしいのです。

教育があっての笑い

笑福亭鶴笑さんの体験談のなかで、私が一番衝撃を覚えたのは、笑いにも教育が必要だと言うことに改めて気づかされたお話です。

変な顔をすれば、子供たちは笑ってくれます。これはどこでも共通。

バルーンアートで笑いをとろうとしたところ、全くウケなかった。現地の人がなぜウケなかったのか説明してくれて、その理由に笑福亭鶴笑さんは衝撃を受けました。私も衝撃を受けました。

バルーンアートでうさぎを作ったんです。しかし、子供たちはきょとんと見ているだけで、表情が変わらない。なぜか? それはうさぎを知らないから。子供たちは教育を受けていない。本でもテレビでも、うさぎという動物を観たことがない。だから、バルーンで作ってもそれは何なのかぴんと来ない。

笑うためには教育が必要だということを、笑福亭鶴笑さんは知らされたそうです。

何気に漫才を観て、笑っているけれど、それって実はある一定水準の教養があるからこそ笑える。世界にはうさぎも知らない子供たちがいる。その事実に私も驚きました。外的要因が笑うという感情を乏しくさせるだけでなく、笑える状況において必要な基礎能力すらも奪うことがあるんだと。

平野の路地でひとりしゃぶしゃぶ|大阪ひとり鍋しゃぶしゃぶ 路地乃 一斗|グルメ|大阪

淀屋橋駅近く、平野の路地で見つけたオシャレしゃぶしゃぶ

御堂筋の交差点、平野町3を東に5分ほど歩き、ステーキレストラン「スエヒロ」の斜め向かいに、京都の町屋路地を思わせる路地が現れます。大阪で注目のスポット、船場は平野町にできた「船場ROJINO」です。老舗居酒屋、 フレンチと様々なジャンルの店が軒を並べています。どの店もカウンター式の店で、比較的リーズナブル。ひとりでちょっと洒落た店で帰りに一杯にはもってこいの区画です。そこにあるひとり鍋しゃぶしゃぶのお店大阪ひとり鍋しゃぶしゃぶ 路地乃 一斗に行ってきました。

路地乃 一斗のこだわり

お肉、お野菜、調味料にいたるまで、素材はすべて国産。

お肉

お肉は豚・牛・ミックスとランク、量(シングルかダブル)から選べます。シングルで最安が1690円から最高が4480円と幅広い。私は選べる豚の中で最高の「幻の黄金一元豚」を選びました。一瞬生ハムに見えたんですが、とてみ綺麗なピンク色で美しかった。そして、ほとんど灰汁が出ないんです。他の肉はどうかわかりませんが、灰汁すくいがないことから、どの肉も灰汁が少ないんだろうなと思い。最後までだし汁が汚れることはありませんでした。

お野菜

野菜もこだわっています。季節ごとに変わるそうですが、とても珍しいお野菜が出てきました。中でも古えのきというものを初めて食べ、その食感に驚きました。豆腐も煮崩れないように堅さと弾力のあるものを選ばれていて、細かい配慮がうかがえます。

たれ

ごまだれが出てきました。これしつこくないんです。最初はさっぱりめに感じて、食べていくうちにつけた野菜や肉のうまみが混じったのか、味にどんどん深みが出てきて、飽きない。

しめ

しめは麺です。珍しい平打ち麺で弾力があり、なかなかの食べ応えがありました。

デザート

これも珍しいアイス最中です。中のアイスに少し弾力があり、最中のサクサク、アイスの弾力、甘すぎない上品な味でした。

内装

近和風というのでしょうか。新しさと古さを混合させた落ち着いた内装でした。カウンターのデザイン、窓の冊子、レトロ風照明とお洒落な空間です。

接客

正しく「お・も・て・な・し」でした。店員さんのホスピタリティは高く、火加減、空き皿の回収、配膳のタイミング、すべて完璧でした。まだ、オープン1ヶ月とは思えない完成された空間とおもてなしでした。

まとめ

ディナーメニューだと、ドリンクを頼まず肉の量をシングルにすれば5000円は確実に切ります。がつがつしっかり肉を食いまくりたいって方のニーズに沿った店ではありません。そういった方は食べ放題に行ってください。このお店はやさしい味、飽きない味、素材の味、食感などをとても大切にされていると感じました。女性ひとりでも全然行けます。おじさんひとりでも。二階にはテーブル席があるようなので、女子会にもおすすめなお店です。

グッバイ・サンタクロース(子供は読まないで)

「何歳までサンタクロースを信じていた?」クリスマスの時期にある会話の一つです。今回は私のサンタクロースについてお話しします。

25日の朝には、プレゼント自慢とサンタクロース目撃談

子供の頃、25日の朝になるとプレゼントを開け、外に飛び出しました。近所の友達と何をもらったのか、見せ合いっこが始まります。その際、友達の一人がサンタを目撃したと言うのです。「嘘だ嘘だ、どんなのだった?」とみんなで目撃者の発言を待ちます。「……黒い靴下が見えた」それだけでした。全容は見なかったらしいです。それを聞いて、私は意外に思いました。『サンタは玄関で靴を脱ぐんだ』と。「煙突ないのにどこから入ってくるんだろう」「トナカイとソリはどこに置いてるんだろう」など、皆で疑問を出し合っては答えのない答えを探っていました。

ワンランク下の我が家のプレゼント

我が家のサンタクロースは一度も、私が思い臨んだ物と完全一致するものを届けてくれたことがありませんでした。望んだおもちゃによく似た別メーカーの安価な物。もしくはグレードの落ちる物でした。近所の友達は望んだものと完全一致していて、羨ましくて仕方なかった。もちろん、おもちゃが嬉しいんだけれど、ちょっと残念なんです。本当に欲しい物はお年玉で買っていました。

サンタクロースとの別れ

実は私の家には小学校5年生までサンタがやって来ました。小学校6年生の23日のことです。両親と妹と近所のショッピングモールに行った際、両親が私の欲しがっていたものらしきものを持っていました。それを見た瞬間、私のサンタは私に永遠の別れを告げたのです。傍らにいた年下の妹にも。妹はとばっちりです。もっとサンタを信じていたかっただろうに。