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印象的な親子の会話|ユウキくんとお母さん|教育|子育て

先日、電車で目にした印象的な親子のお話

6歳くらいの男の子とそのお母さんが会話をしているのが耳に入った。仮に男の子の名前をユウキ君として再現します。

お母さん「ユウキはまだまだ伸びしろがあるから、もっともっと強くなるよ。お母さんはもうこれ以上は強くならない」 (囲碁か将棋か、何か知能を使ったゲームを親子でやってきたらしい)

ユウキ「ほんまにー?」

お母さん「歌の方はちょっとやけど、こっちは才能あるよ。難しいって思っても諦めずに一生懸命考えるんよ。そしたら、できるようになるから」

ユウキ「うん」

という具合に会話の一部が耳に入ってきた。その後、親子は空いた席に座り楽しそうに会話をしていた。席が離れたため詳細はわからないけれど、お母さんの会話をしっかりユウキ君は聞き、お母さんもユウキ君の言うことをしっかりと聞き、キャッチボールができていた。

私は「このお母さんはすごい」と思った。見た目は小柄で若くかわいらしいお母さん。言葉遣いは関西弁でしゃきしゃきと話す。とても頭の回転がいい方だと感じた。そして、一番強く感じたのは、何よりも子供と話しているのに、大人と話しているように話すということ。子供だからといって、極度に大人目線で上から話さない。普通の大人だと、意識してか無意識にか、子供に対して自分が下に下りて話してしまってる。しかし、このお母さんからそんな印象が全くなかった。友達に話すように話していた。

そして、ユウキくんの受け答えがとてもしっかりしていたのに感心した。えっとーとか、感覚的な言葉遣いはなく、文法がしっかりしている。難しいことは話していないのだけれど、しっかりとした会話を親子でしている。これって、大人になった親子でも、なかなかできていないんじゃないのか。どちらかが一方的に言いたいことを言って、片側は聞きに徹していたり、言葉を極端に省略していたりするでしょう。

ユウキ君が話し、お母さんが相づちを打ち、笑う。今度はお母さんが話し、ユウキ君が頷いて聞き、笑う。その姿に大げさだけれど、私は感動した。なんだか、この親子はすごい。ユウキ君はとても利発だ。まるで、小説や映画に出てくる創造上の利発な男の子が、現実にいることに驚いた。運動ができるとか勉強ができるとか、知らない。けれど、もっと大事なことがユウキ君に備わっているように見えた。

それ以上にお母さんはすごい。とても子供のことを見ているんだと思う。歌がそんなにということを囲碁か将棋だかはこの子はできそうだと把握している。そして、しっかりと褒めて、努力するようにと諭している。書いておきながら、どうしてここまでこの親子に惹かれたのかわからないところがある。うまく言い表せないけれど、とてもいいものを見た。