10分で楽しめる文化系WEBマガジン MIN CAFE

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映画の面白さとヒーロー映画の迫力|シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ|評価|感想

アメコミヒーローものは垣根を越えた

冒頭シーンはまるでボーン・アルティメイタムのようだった。東方の砂埃舞う市場で繰り広げられるアクションシーンは、スパイもの映画のように、ハンディな映像が緊張感を持ち続く。ヒーローものだということを忘れさせる映像と展開が続いた。

マーブル映画の貪欲さを見た気がする。ヒーロー映画の枠をこえ、シリアス・スパイ・ヒューマン・ミステリー、様々なヒット映画の手法を取り入れ、最新のエンターテイメント映画を展開させている。極めて質が高く、安心して楽しめる高次元エンターテイメントを作り出していた。

マーブルコンボは続くよどこまでも

各ヒーローもの、その続編もの、アベンジャーズ、という黄金の流れを作り、アベンジャーズ2で2サイクルが終わったところ、今は3サイクル目に入っている。それにしても各ヒーローものは単体で充分にクオリティを維持し、なおかつ各ヒーローものだけでもストーリー軸は続いている。

ストーリー軸がいくつもあり、その軸が交差してアベンジャーズ軸につながり、それでも単体としてどれもが面白く楽しめる。複雑だけれど、途中参加でも楽しめる、見事なバランスを作り上げている。その映画一本だけ面白くしていればいいわけではなく、次回作やアベンジャーズのことまでも考慮して筋を作っているのだからだ、相当に何度の高いシナリオだと思う。

ヒットさせ続けるだけでなく、飽きさせず、この無限コンボを今のところ当て続ける。マーブル商法のバランス感覚は見事だ。

ヒーロー映画の新たな潮流

マーベルもののなかで、キャプテンアメリカはシリアス路線だ。長い年代の話であり、戦争の負の遺産が戦いを有無という背景でストーリーが展開する。ヒーローものの新たなテーマとして、問われるヒーローの責任 が扱われている。これはバットマンvsスーパーマンでも扱われていた。ヒーローは全てを救えるわけでなく、その陰にかならず犠牲者が存在し、多くにとってのヒーローであっても、僅かな犠牲者にとっての憎悪するべき対象であること。ここにリアリティを持たせている。それが今のハリウッドヒーロー映画の潮流となってきている。

ヒーロー映画はアクション映画であり、戦争映画であり、人間ドラマである。勧善懲悪な簡単なストーリーはもう古い。

バットマンVSスーパーマン』との圧倒的な差

マーベル映画の培ってきた歴史と経験に、DC映画はかなわない。魅力的なキャラクターや俳優たち、長年のストーリーで描かれた関係性、トレンドをはずさない演出、全てが巧みで、無理がない。

バットマンVSスーパーマン』はマーベルを追随し、かなり強引に伏線をはっていた。キャラクターにも魅力がなく、付け焼き刃感がある。既知のヒーローの魅力ではなく、俳優が演じるヒーローだからこその魅力をまだ作り上げられていない。

シビルウォーでは短い時間であっても、各々のキャラクターの能力だけでなく性格がしっかりと描きわけられ、とても魅力的だった。強引なストーリーに引っ張られるのではなく、一人ひとりにしっかりと持ち場と印象を残している。