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10分で楽しめる文化系WEBマガジン MIN CAFE

ひとりカフェ中に、10分で楽しめる本や映画、エッセイ、カフェ系ブログ。映画は洋画中心、カフェは関西中心、ときに考えさせてくれるエッセイをエッセンスに。文化系の読者様大歓迎です。

派生した新生ターミネーター|ターミネーター:新起動/ジェニシス|評価|感想

ターミネーター3よりは2の続編に思える映画

ターミネーター3以来、アーノルド・シュワルツェネッガーが戻ってきた最新作はエンターテイメント感満載ノンストップムービーだった。ターミネーター1と2の設定を巧みに利用し、タイイムトラベルものに生まれ変わった。

続編でありながらも新起動

新たなシリーズを予感させる第一弾。ターミネーターの当初の世界観やカラーは薄れたか。タッチが変わりアクション要素に大きく傾いている。どことなくマーベルもの映画の雰囲気に近い。暗い未来・コンピューターの脅威を描いたコアなターミネーターは消え、ヒーロー映画的要素が多くを占めた。従来のターミネーターファンから、新たなファン層を作ろうとする意図を感じた。

薄れるターミネーターの存在感

圧倒的脅威と恐怖の源だったターミネーターは消えた。主人公たちの戦闘力が上がり、戦術も巧みで強い強い。これはこの映画だけの問題ではなく、ターミネーター1や2で感じた感覚は、SFXが進化しSF映画を見慣れる時代となったことも原因だ。

偉大なターミネーター1・2

改めてターミネーター1・2のすばらしさを再認識した。画に見えない演出力が映画を印象づける。新の演出力というものを。エンターテイメント性の奥にメッセージ性をしっかりと内包した映画だったということを、改めて感じた。

☆☆★★★

全てを見せずに不快感を|本格ミステリ映画|誘拐の掟|評価|感想

静かに始まる

冒頭は静かに始まるのだが、一転激しい音と動きで引き込まれる。リーアム・ニーソン演じる主人公の探偵マット・スカダーがいつものバーでいつもの酒にコーヒーを静かに飲む。やさぐれかんとハードボイルドな飲み方がなんともカッコいい。冒頭の1シーンで雰囲気が一気に掴める物語全体のプロローグシーンだ。

印象深い脇役たち

探偵物なので依頼が舞い込む。登場人物たちがなかなかにいい顔の人ばかりだ。特に依頼人の兄弟二人は、なかなかのイケメンで、ただ端正というだけでなく確かな雰囲気、演技で魅力的だった。猟奇犯役も実に良い意味で気持ち悪い。犯罪シーンも全てを写してはいないが、絶妙に不快感を抱かせる。それ以上に、犯人の日常の描写が気持ち悪い。

退屈させない運びの脚本

リーアム・ニーソンは安定の存在感だけれど、この映画では脇役がよかった。展開も決して派手ではないけれど、不思議と退屈させない。クライマックスに向け、ゆっくりと確実に盛り上げていく。監督のことを調べてみると、もともと脚本家として有名だった。私が好きなマイノリティー・リポートの脚本家だ。話の運び方がとてもうまい本だと思う。

謎解きよりも心情に

謎解きが主ではない。スカダーや彼に関わる人間たちの内面が次第に見え、犯人に立ち向かっていく物語。静かに内面に抑え、人間の闇がにじみ出る。闇に侵されながらも、ふと救いを見出そうとする。物のように人間を扱う犯人と、不器用にも繋がり犯人を追い詰めていく主人公たち。正義や倫理を説いてくる映画ではない。爽快感もない。物悲しい映画だ。

ビニール傘が教えてくれた童心|雨|日常

ビニール傘の雨粒

梅雨のこの季節は大人になると憂うつなものだ。今朝も雨だった。信号待ちで手にしているビニール傘をふと見上げた。雨粒が溜まり、くっつき大きな粒になっていく。重さに耐えきれずに、流れ落ちていく。そんな様子を子供の頃、飽きずに観察していたことを思い出した。

雨の日の下校は晴れの日より楽しい

長靴登校のときは、下校時間いかに大きな水溜まりを見つけ、飛び込むかを競っていた。校庭の水溜まりと水溜まりどうしを繋ぐ川を窓からいつまでも眺めていた。自転車置き場のトタン屋根を打つ雨音が好きで、ずっと聞いていた。

忙しいはずなのに

小学生は意外と忙しい。学校だけではなく、習い事に遊びで忙しい日々だった。けれど、季節のものものを大人よりずっと感じとっていた。脳が知らない刺激を吸収していたからか、動物的な部分が多いからなのか。

気づくか気づかないか

同じ一日でも注意深く生きてみると、あらこんところにこんなものがと気づくことがある。同じように日々を送っていると、自分が同じような日々の送り方をしていると、些細な変化に気づかなくなっていく。些細な変化に楽しみを見つかられるのに童心が必要ならば、とりもどせたらきっともっと毎日が楽しくなるのではないか。ビニール傘を見上げて、大げさなことを考えてしまった。

ふと怖くなった子供のケンカ|教育|子供

電車内での子供のケンカ

正面の席に小学5年生位の男の子と小学2年制位の男の子が座った。どうやら兄弟のようで、制服を着ていることから同じ私立小学校に通っているようだ。兄弟は電車に乗り込み、席に座る前から揉めていた。

兄「お前、低学年の癖にいい度胸してるな」

弟は兄の胸の辺りを殴る。随分負けん気の強い男の子だ。

弟「お前なんかな、俺が包丁持って刺したらいつでも殺せるんやぞ」

兄「やってみろよ。そんな度胸ないくせに」

そんなやり取りの後も、互いに身体を押さえつけ合う。ちょうど両隣にご老人男性二人が子どもたちを挟む形で座っていた。ケンカがやまないので気にしている。私も気になったが、すぐに熱が冷めるだろうと思っていた。

弟はもう諦めたのか、大人しくなった。しかし、兄は気が収まらないのか持っていた傘を弟の胸に突き刺した。

兄「殺すぞ」

そう言った。私は恐ろしくなった。自分の子供の頃を振り返ってみる。ケンカでここまで怒りを引きずり、殺すとまで言ったことがあったろうか。怒りにここまで長く深く囚われただろうか。

兄の左隣に座っていたご老人が一喝した。途端、兄弟は静かになった。二人して携帯電話をいじりだす。なんだ、やっぱり子供だとほっとした。電車が駅につき、一喝したご老人と兄弟が同じ駅で降車するらしく立ち上がった。先にご老人が降りていく。兄はご老人が電車を降りるのを確認して、

兄「クソジジイが」

と、毒づいた。聞こえないことをちゃんと計算して言い捨てた。私は彼がまた恐ろしくなった。全く反省などしていないのだ。恥ずかしさや後悔などないのだろう。しかも、ご老人が聞こえていないことをちゃんと計算しての毒づき。そのずる賢さに恐ろしくなった。

兄弟は電車を降りる。降りるとき、兄は弟をドアの辺りで突き飛ばした。ご老人への怒りが収まらず、弟に向けたのだ。ドアの降りる瞬間を狙ったのだ。なんて冷徹で狡猾な子供だろう。弟は日頃、この兄の厭らしいいじめを受け続けているのだろうか。

私立に通わせてもらえる恵まれた環境で育っている兄弟たちだが、その心は恵まれているのだおるか。私はこの兄弟がどんな大人になっていくのか、恐ろしくなった。子供のケンカを見かけて、こんなに恐怖を覚えたのは初めてだ。兄弟は喧嘩して、兄は弟をいじめるものだと思う。しかし、この兄のいじめは執着的で陰湿だ。

親ができない、やっていないのだろうから、どこかで、誰かがこの兄弟を教育する機会があればいいと願う。ご老人のような大人がいても、反省しない子供だから、難しいかもしれないが

コーヒー通にこそ行って欲しい|ヒロフミフジタコーヒー|カフェ|玉造|大阪

コーヒーをフレーバーで表現する。コーヒー通ご満足なお店

古き佇まいの残る路地、石段を登れば

古道が残る地として有名な玉造。地下鉄鶴見緑地線玉造駅から徒歩1分、長堀通り沿いから石段を登ると古い軒に並んだお店。石段も含めて雰囲気作りをしてくれる。店のドアを開ければ、コーヒーの香りがお出迎え。周辺の軒と比べ、店内はシンプルモダンな内装で、いわゆるカフェなのだが、店主さんは喫茶店のマスターのような人柄。

喫茶店×カフェ

地元の常連客なのだろう。店主と会話を楽しんでられた。こちらの店主はとても気さくで、地域に慕われる町医者の雰囲気だった。カフェなのに医者なのかというところだが、年配の客との接し方は医者のそれで、コーヒーのレクチャーは丁寧な診察のようだった。常連を大切にされているのだなと、感じられた。様相はカフェなので、カフェ好きたちも訪れる。まさに喫茶店とカフェの良い面をあわせもったお店だ。

紅茶専門店の説明のようなメニュー

面白かったのが、メニューだ。「チョコレートのような甘い香りが際立つ」といったような、紅茶専門店での茶葉説明に似た表現をしていた。扱っている豆もあまり目にしない珍しいものが多かった。コーヒー通なら必ず楽しめる店だ。価格も490円に統一されてとリーズナブルだ。豆に詳しくなくても、イメージを伝えれば好みにあったコーヒーを淹れてくれる。おかわりは220円だったと思う。

四季を切り取る日本映画|海街diary|評価|感想

リアルとフィクションの間に位置する是枝監督

日本映画には四季がある

ドキュメンタリー出身ということで、その匂いがどの映画にも出ている。海街diaryにおいても、日常感が大切にされている。日本は四季のある国で、日本の映画には四季を取り入れて映画を作ることができる。にも関わらず、邦画で四季を丁寧に切り取っている映画の割合は少ない気がする。この海街dialyでは日本映画らしい四季を背景に日常を敷き、物語を敷いている。

脚本には書けない演出

人間て何かを考えたり思ったりするとき、わざわざ座禅を組んだり、特別な場所でやらない。洗濯物をたたんでいるとき、ご飯を作っているとき、日常の動作の中でふと思う。もちろん、頭のなかで思っていて、言葉には出さない。それを映画で表現するのはとても難しい。是枝監督はそれを小道具や役者に言葉にさせるのではなく、すっと高級なハサミで柔い生地を切るように、切り取る。役者の演技力なのか佇まいや空気感なのか、作られた感を出さずに自然に見せる。これって、ものすごいことなんだと思う。

ニューフェイス広瀬すず

大ブレイク中の彼女。出演シーンだけをつなげると広瀬すずPVが完成するだろう。男性監督だからの画が、ぽろぽろ見えて、きっともっと画を撮っていたんだろうけど、切ったんだろうなぁと想像してしまう。ところどころ、作られたものがかいま見えるのだけれど、それを許せてしまうキュート差が彼女にはあった。同性ももう許してしまうんじゃないだろうか。そんなに出演経験もないだろうに、下手感はなく、末恐ろしい女優さんだ。

新旧女優たちの演技

確かな経験のある女優さんたちがオンパレード。最近、朝にやっているあるドラマの脇役女性の演技を見ていて、しんどい気持ちになった。詳しくは知らないけれど、舞台出身の方なのだろう。日常ではそんな抑揚はつけないし、圧のある演技で見ていられなかった。海街diaryの女優さんたちの映画は、圧が全くなくて自然と入ってくる。これもすさまじいことなんだと思う。アクションやサスペンス、ホラーなど物語や演技に動きがつく映画よりも、こういった日常的な人間劇のほうが、ずっとずっと演じる力が必要なんあろうなとつくづく感じた映画だった。

☆☆☆★★

おかしいことをおかしいと言える強さ。痛快で笑えてちょっと泣ける映画|きっと、うまくいく|評価|感想

娯楽作の中で描かれる社会問題

男三人そろえば、お馬鹿なことをやる

内在するテーマは暗いものだけれど、コメディとエンターテイメントでライトに描いている映画。インドは日本よりずっと学歴至上社会で、貧富の差が激しい生きにくい国。社会と親の期待の二つの重圧を受け生きる若者たちの姿が描かれていた。お国柄は関係なく若者の自分探しは普遍的なもので、共感できる部分は多々あった。

憤りを暴力で出さない頭を使った痛快劇

三人のうちのリーダー格の青年が頭の回転がよく、教師を言い負かす。真正面からぶつかるのではなく、知恵と機転で壁を壊すのではなく迂回する。大事な友達のためならば、畏れも抱かずすぐに行動できる。とても魅力的な人物だ。彼の影響を受け、周りの人間たちは変わっていく。彼は不変で、ただまっすぐ正直に自分の道を歩み続ける。思うままに生き、意志を貫いて生きるのは難しいことを、平凡な友人二人で描かれていた。彼は「きっと、うまくいく」と困難に直面したとき自らに言い聞かせ乗り越えてきた。

何も親や教師が正しいわけではない

常識・正道・規則、それは誰かや社会・時代が作ったものなのに、大人たちはそこに唯一無二の価値を見いだしている。人間は指針を持ち、何かと比べることで己の位置や役割を知って安心する。本質にある最初の情動は期待感を持たせるけれど、安心感をもたらしてくれない。だから、枠組みに甘んじてしまう。リーダーの青年はそんな大人たちの価値基準をおかしいと唱える。

おかしいんだけれど、おかしいと言えない

みんな最初はわかってる。おかしいなって、心は振れていたはずなのに、いつのまにか振れを抑えて、いつのまにか、おかしいと思わなくなって、おかしいと思っている人間をおかしいと指弾するようになる。思春期にうずまいていた感情が呼び起こされる映画だった。誰もが共感できる映画だ。高校受験・大学受験・就職活動を控えている過渡期の人たちにはぜひ観て欲しい。「きっと、楽になる」

☆☆☆☆★